国道234号から244号を抜け、別海町を経由して標津をめざす。
道中でなぜか幼稚園の駐車場に迷い込み慌ててUターン。ぺこぺこしている私に園児たちが手を振ってくれた。恥ずかしくて保育士さんたちの顔は見られなかった。こういう些細な珍事がずっと忘れられなかったりする。
標津を目指すには理由があって、どうしても野付半島に行ってみたかった。野付半島は全長約26キロメートルにわたる砂嘴。陸地からヒョロっと伸びた不思議な形。かつてはそこに漁場があり、人の暮らしがあった。キラクという幻の街の逸話も私の心を掴んで離さない。
母の知人が標津出身で、母を通じて野付半島の話を聞いたことがあった。年末が近づくと標津から送ってもらう標津漁協の鮭やいくら、筋子、ホッカイシマエビを毎年毎年食べながらずっと思いを馳せ、細い細い半島に心を奪われて幾年月。ようやくこの場所を訪れることができた。


それにしても暴風。そして小雨。かなり寒い。なんてハードなコンディション。またもやありったけの服を着込んで散策を開始。それでも寒い。帽子が飛ばされそうになる。
悪天候でも野付半島への興味は薄れない。ここでバードウォッチングしたいという気持ちだけでどんどん進む。でも寒い。顔面がどんどん冷たくなっていく。
天気が悪いからか時期的なものか人は誰もいない。この世の果てのような景色のなか、私と動物しかいない世界をしばらくの間楽しんだ。















結局2時間くらいこの場所にいただろうか。寒い寒いと言いながらも、鳥たちを追っているうちに寒さも忘れかけた。曇り空と湿った空気、靄がかかった視界が余計に現実世界との乖離を加速させて、目の前の世界に没頭することができた。野付半島でバードウォッチングするという夢が叶って本当に嬉しい。楽しかった。夢中になってしまった。
ひとしきり夢の世界を堪能して現実に戻ると、全身が冷え切っていた。車に乗り込み暖房をガンガンにたいて、人間がいる世界に戻ることにした。